サメが好きな子どもに、かわいい小ザメの動画を見せたかった。
それがこのプロジェクトの始まりだった。AIを使えば、オリジナルのかわいいキャラクターを動かした短編動画が作れるんじゃないか。Midjourneyでキャラを作って、Runwayで動かして、完成させる——そのイメージで始めた。
結論から言うと、思っていたより何倍も難しかった。

子ども向けのかわいいサメ動画、見てみたいです。

静止画は作れたの。でも「動画で安定させる」ところで、何度も壁にぶつかったわ。
作ろうとしたキャラクターのイメージ
キャラクターのイメージはこうだった。
- 小さなホホジロザメをモチーフにした、丸っこいシルエット
- 大きな黒い目
- 白〜薄いグレーの体、背中は青みがかったグレー
- 薄ピンクのほっぺ
- 水彩絵本風のやわらかいタッチ
- 臆病でビクッとしやすい性格
怖そうなサメではなく、小さくてびびりで、でもかわいい——そういうキャラクターだ。子どもが見ても怖くなくて、むしろ応援したくなるような存在にしたかった。
試したこと
使ったツールと試した内容はこうだ。
Midjourneyで基準画像を作成——まずキャラクターの基準となる静止画を作った。水彩絵本風のプロンプトを試行錯誤しながら、「これだ」と思える1枚を作るのに時間がかかった。丸い体と大きな黒い目という特徴は出せたが、毎回少しずつ違う顔になった。
GPT Image 2.0で表情差分を作成——基準画像をもとに、「驚いた顔」「震えている顔」「後ずさりしている顔」などの表情差分を作った。GPT Image 2.0は指示への忠実さが高く、表情のバリエーションは比較的作りやすかった。
Midjourney Omni Referenceで絵柄を整える——基準画像を参照しながら、絵柄の一貫性を保つ試みをした。静止画の段階では、Omni Referenceのおかげで同じキャラクターらしさを維持できるようになってきた。
RunwayとSeedance 2.0でImage to Video——作った静止画を動画化した。「泳ぐ」「驚く」「震える」「後ずさる」という動きをプロンプトで指示した。15秒動画の生成、マルチリファレンス、短いプロンプトと長いプロンプトの比較など、様々なパターンを試した。
分かったこと:非人間キャラを動画で安定させるのは難しい
試行錯誤の中で、いくつかのことが分かった。
人間の動作はAIが得意、非人間キャラは難しい——AI動画モデルは人間の動き・ダンス・表情を得意とする。その一方で、小ザメのような非人間キャラの動作は安定しにくかった。「震える」「後ずさる」といった繊細な動きは、人間キャラで同じことをさせるより格段に難しかった。
長いプロンプトは逆効果になることがある——「泳ぎながら、何かに気づいて、ビクッと驚いて、後ずさる」のように複数の動作を一度に指示すると、生成が破綻しやすかった。1つのシーンに1つの動作に絞った方が、意図に近い動画が出やすかった。
曖昧な言葉が余計なものを生む——「人影」「誰か」「何か」のような曖昧な表現を使うと、意図しないキャラや構図が生成されることがあった。プロンプトは短く、具体的に書く方がいい。
状態は画像で見せる——「震えている」という状態をプロンプトで伝えるより、震えているポーズの静止画を参照として渡した方が意図が伝わりやすかった。言葉で説明するより、画像で見せる。

1シーン1動作に絞るのがコツなんですね。

あとは主役を小ザメ1体だけにして、怖がる原因も1つに絞る。余計な要素を削るほど、意図に近いものが出てくるのよ。
いったんクローズした理由
このプロジェクトは、現時点でいったんクローズした。理由は正直に書く。
制作負荷が高い——静止画の作成・表情差分・動画化・確認・修正のサイクルを回すのに、思っていたより時間がかかった。1本の動画を仕上げるまでの工程が多い。
生成結果が安定しない——毎回同じクオリティで出せるわけではない。「いい動画が出た」と思っても、次も同じように出るとは限らない。子どもに見せたいからこそ、中途半端なクオリティでは出しづらかった。
収益導線に直結しにくい——このプロジェクト自体はビジネス目的ではなかったが、月18,000円のRunwayを継続するかどうかの判断材料としては弱かった。
ただし、この経験は無駄ではなかった。AI動画生成の限界と可能性を、実際に手を動かして確認できた。「静止画は作れる、動画の安定化は難しい」という実感は、他のAI動画プロジェクトにも活きている。
まとめ:AI動画制作で学んだこと
- 非人間キャラをAI動画で安定させるのは、人間キャラより格段に難しい
- プロンプトは短く、1シーン1動作に絞る
- 曖昧な言葉は使わない。状態は言葉より画像で伝える
- 静止画の差分は作れる。動画の安定化は別の難しさがある
- 子どもに見せるからこそ、中途半端なクオリティでは出せない——その基準が制作の難易度を上げた
Runwayの詳しいレビューと解約の経緯はこちら。
→ Runwayを解約することにした。AI動画制作で感じたメリットと3つの限界
Midjourneyでのキャラクター制作の話はこちらにまとめている。
→ MidjourneyでAI美女とキャラクターを作ってみた。一貫性を出すのに何が難しかったか
AI動画副業の現実についてはこちら。
→ AI動画副業は本当に稼げる?SNS投稿・販売を試して分かった現実

